六田知弘

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トピックス

写真家・六田知弘の近況 2021

展覧会や出版物、イベントの告知や六田知弘の近況報告を随時掲載していきます(毎週金曜日更新)。

過去のアーカイブ

2021.02.19 底冷えの大和
底冷えの大和

今週の奈良は冷えました。特に水曜日は朝から雪が舞い、あっという間に山も畑も雪化粧。北風も時々強く吹き、吹き飛ばされた樹上の雪が私めがけてシャワーのように降り落ちてきます。聞こえてくるのは風にしなる木々の葉擦れと降り落ちる雪の固まりが地面や灌木にあたる音だけ。
そんな天香具山(あまのかぐやま)やヤマトタケルノ尊の白鳥陵などで一人写真を撮っていると頭がくらくらとしてきて、いつしか異次元の世界に迷い込み、戻ってこれなくなるような、、、。アブナイ、アブナイ。(六田知弘)

 

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2021.02.12 ホームの塗料がハゲた柱
ホームの塗料がハゲた柱

3月11日からの「時のイコン 2021」の会場で展示の打ち合わせをした後、毎年東京の中野で開催されているアール・ブリュット展の最終日に行きました。
その作品たちのインパクトで私の脳はすっかりシビれてしまいました。そしてその頭のまま新幹線に乗って、2ヶ月ぶりに奈良に来ました。
橿原の実家に一泊して、翌朝お墓参りに行くために近鉄電車に乗って尺土駅で乗換えのためにホームで御所行きの電車を待っていた時、屋根を支える為の柱が目に入りました。そのハゲたペンキの色と模様が面白く、スマホでパチリ。そしてリュックに入った一眼レフカメラを出してさらに撮ろうとしたところで電車が入ってきました。シャッターを一回押したところで発車のアナウンス。慌てて飛び乗って、チェックをしたら案の定、見事なピンボケ。というわけでここにはスマホで撮ったものを載せました。(六田知弘)

 

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2021.02.05 春一番
春一番

昨日は、春一番が吹きました。
統計を取り始めてから最も早かったのだそうです。
風に煽られながら高幡不動の裏山を歩きました。木々がゴーと音をたてて激しく揺れています。空を見上げながら揺れる様子を写真に撮り続けていると脳みそが分解されてしまう様に感じます。
流石に春一番というだけあって寒くはありません。脇を見ると椿の花も西日を浴びながら揺さぶられています。引き千切られてしまうのじゃないかと見ていたのですが、まだ咲いたばかりの花なのでこれぐらいの風ではもげないのでしょう。
あと1、2ヶ月すると、地面一面に何百という赤い花が落ちるのですが、これを撮るのもまた楽しみです。(六田知弘)

 

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2021.01.29 バベルの塔
バベルの塔

自宅のパソコンのデスクトップピクチャーにはピーテル・ブリューゲルが描いた「バベルの塔」を使っています。
これは、10年近く前にウィーンの美術史美術館で私が撮った写真の画像です。いやー、あのブリューゲルの部屋はすごかった。なにせ子供の頃からの憧れだった「雪の狩人」や「子供の遊戯」や「農民の結婚式」そして「バベルの塔」などブリューゲルのすごい作品12点が一つの部屋にズラッと並んでいるのですから。写真撮影も許されているので、思う存分その部屋で、至福の一日を過ごしました。
それはさておき、この頃、パソコンを立ち上げるときに最初に目にするデスクトップの「バベルの塔」をみて、毎回、ふと頭をよぎることがあります。
この絵は、今の我々の姿を現しているのじゃないだろうか。
いうまでもなく、バベルの塔は旧約聖書の創世記に出てくる話ですが、人々は、神が作った石の代わりにレンガを、漆喰の代わりにアスファルトという技術を生み出し、それを用いて天に届くほどの高い塔をつくろうとする。自分たちの技術によって、天にいる神と同じ高さ、あるいはそれ以上のものを作り出すことができるのだという意識。進歩と発展を追求することだけがすなわちそのまま幸福につながるのだと、なんの疑いもなく信じて生きている。
背後の山野は切り拓かれ、道路や大規模な水道設備などを備えた大都市がすでに形作られ、左手前の丘上にいる塔の建設現場を視察している王やその家来らしき人々の表情は得意げです。しかし塔は、すでに左に傾いている。それに気づかないのか、我々は。(六田知弘)

 

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2021.01.22 鉄隕石
鉄隕石

私が外出時に持って出るバッグのポケットにはいつも小さな隕石がひとつ入っています。20年ほど前からそうしていて、海外に行く時にも忘れません。私にとってはある意味お守りの様なものかもしれません。
大きさは1.5センチ程でとても小さいものなのですが、鉄分が多い、いわゆる鉄隕石あるいは隕鉄と呼ばれる隕石なので手に取るとずっしりと重いです。この重さがまたたまらない。
隕石は宇宙空間にある(何十億年も前にできた)個体物質が地球などの惑星に溶解しながら落下してきたものの残骸ですが、それが私の掌にのっている事の不思議。
宇宙の時間からすると私という存在は一瞬とも言えない無に等しい現象です。それからみるとこの隕石は変化しながらも無限に近いほど長く存在するのでしょうが、それも永遠ではないわけで、私と同じく「宇宙のかけら」でしかないのです。その二つの現象が、この時ここで出会っているという事のフシギ。
掌にのせた隕石をコロコロと転がせていると不思議に心が落ち着くような気がします。(六田知弘)

 

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2021.01.15 玉の魚
玉の魚

年末から、コロナのせいで奈良にも行けずほとんど巣ごもり状態が続いています。毎日のようにパソコンに向かって以前に撮って未整理のままの写真画像のセレクトをしているのですが、自分でも気づいていなかった面白いものが写っていたり、同じ対象でも撮影した時期によって対象に向きあう自分の姿勢が全然ちがうことに気づいたり。これが結構面白い。
ヨーロッパの石の写真や壁の写真、国内で撮った石や水や木の写真、東日本大震災の被災地で撮った写真、そしてカンボジアの遺跡で撮った写真、はたまた北京の胡同の写真・・・。まだまだ埋もれたままのものがいっぱいです。コロナで自由に動きがとれない今は、それらの写真を発掘するための時期だと決めてコツコツと、楽しみながらやっていこうと思っています。
そういう作業をするパソコンの机の上にはごちゃごちゃと色んなものが載っているのですが、最近よく手にとるのが、この魚形の玉です。もう20年も前になりますが、北京の小さな店で安価で買ったもので、真贋も確たることは言えないし、西周時代の本物だとしても市場価値など大したものではないのですが、パソコンに向かって作業しながら指でその表面を触っているとなんとも心が落ち着きます。(六田知弘)

 

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2021.01.08 年末年始
年末年始

あけましておめでとうございます。
コロナの急激な蔓延で、例年とは髄分違う新年となりましたが皆さんどうお過ごしでしょうか。 私は暮れからほとんど巣ごもり状態で東京の自宅で本を読んだり、画集を見たり、未整理の写真を整理したり、こういう時期だからこそできる事をやるしかないと、閉塞感に押しつぶされないようなんとか耐えているのですが、昨日に首都圏でふたたび(非常に中途半端な感じがする)緊急事態宣言が出されるなど、こんな状態がいったいいつまで続くのか・・・。早く、カメラを持ってとびだしたい。
ともあれ、この年末年始に集中的に見たのはゴーギャンとクレーの画集ですが、なんとも言葉に表せないその底知れぬ魅力にグーッと引き込まれておりました。彼らは、(質はそれぞれ違うけれど、)「秘密の泉」の在り処を知っていて、そこから汲み取った水をこちらの世界に運んできて、我々に飲ませてくれる。私も写真でそれをしたいのです。

お互い、コロナはもとより心身の健康に十分気をつけて、また、写真展などでお目にかかれれる日を楽しみにしております。

(3月には、東日本大震災から10年という事で、金沢と東京のギャラリーで『時のイコン』の展覧会をする予定です。)(六田知弘)

 

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