六田知弘

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トピックス

写真家・六田知弘の近況 2024

展覧会や出版物、イベントの告知や六田知弘の近況報告を随時掲載していきます(毎週金曜日更新)。

過去のアーカイブ

2024.04.19 100年前のキリギリス
100年前のキリギリス

京都大学総合博物館に展示されている東南アジアで採集されたキリギリスの仲間の標本です。
ラベルを見ると1923年と書いてあり、採集されたときなのか、標本にされた時なのかはわかりませんが、いずれにせよ100年も前にできたもの。
これに私は引っかかって、そこからしばらく動けなくなってしまいました。

足がはずれて羽の先端も破損したこんなもののどこに惹きつけられるのか私自身でもよくわからないのですが、とにかくムズムズと写真を撮りたいという欲望が湧き出してきて、、、。

因みにこの写真はスマホで撮ったのですが、しっかりとしたカメラで撮りたい!
他にも展示されていないけれど収蔵庫に眠っていて私に撮られるのを待っている、古い、様々な種類の標本が数え切れないほどある。私にはそう思えてならないのです。(六田知弘)

 

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2024.04.12 花まつり 連載「仏像にまみえる」
花まつり 連載「仏像にまみえる」

私はいつも高幡不動の裏山を通ってお不動さんにお参りしてから駅にいくのですが、4月8日はお釈迦様の誕生を祝う花まつり。
本堂の前には、誕生釈迦仏に甘茶をかける人たちが列をつくっていました。
周りには赤、黄、ピンクの花が飾られて暖かく、柔らかい光の中で、頭からとろっとした甘茶をかけられる生まれたばかりのお釈迦さまはとっても気持ちよさそうに見えました。

ところでその4月8日から、日本の社会や文化を国内外に発信するWebサイトnippon.comでいよいよ新連載「仏像にまみえる 六田知弘の古仏巡礼」の本番がはじまりました。
第一回は、花まつりに合わせて、愛知県正眼寺の銅造誕生釈迦仏です。
この仏像は8センチととても小さなものですが、鍍金も極めて美しくなんとも可愛いお姿です。
普段は奈良国立博物館に寄託されていて、奈良博に行く度にいつか撮らせてもらいたいと思っていたもの。飛鳥大仏や法隆寺の釈迦三尊像などを造ったとされる止利派のお顔の特徴をもっていて、おそらく日本最古の誕生仏であり、かつ日本最古の仏像のひとつでしょう。
それにしてもなぜこんなに鍍金がしっかり残っていて保存状態がいいのでしょう。ある意味これはひとつの奇跡のようにも思います。いずれにせよ私にとっては特別な仏像のひとつです。
皆さんも是非覗いてみてください。(もちろん見るのは無料です。)
この連載は週に一回のペースで年間で50回の予定です。
第2回目は4月14日にアップされます。さて次は何が来るのかお楽しみに。(六田知弘)

 

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2024.04.05 法隆寺のクスノキ、 新連載はじまる
法隆寺のクスノキ、 新連載はじまる

この2週間ほどの間に法隆寺を4回も訪れました。
今回最初、南大門をくぐった瞬間にいきなり鳥肌が立ちました。何に反応したのかはわかりませんが、法隆寺という場が発するある波動のようなものに私の身体がシンクロしたのかもしれません。境内のそこここで、突然、涙が滲むこともありました。その理由は私自身よくわかりません。


写真は聖霊院の前の池の側に立つおそらくクスノキだと思われる古木の根元付近を撮ったものです。
樹齢何百年なのでしょうか?もちろん私が子供の時からこの木はここにこうしてあったのは覚えているのですが、なんだか今回は妙に引きつけられる存在です。

法隆寺が建てられて1350年ほど。
私が小学生のころ課外授業で、法隆寺は1300年前に建てられました、と五重の塔の前にみんな並んで体育座りをして、そういう説明を先生から受けた事を覚えていますが、あれから半世紀以上も経ったとは(笑)。
法隆寺からすると、このクスノキなどはまだまだ新参者でしょうが、それならば私なんかの存在は、無いに等しい。そういう私がカメラでその姿を写したいと思っている。その不可思議さ・・・。

ところで、次回にまた詳しくお知らせしますが、日本の社会や文化など様々情報を国内外に7ヶ国語で発信するWebサイトnippon.com において、私の写真で日本の仏像を巡る連載「仏像にまみえる」が4月2日から始まりました。
プロローグとして、初回は解説をしていただく駒沢大学教授 村松哲文氏による 仏像鑑賞入門:尊像と対話するための基礎知識、 4月7日の2回目は私に対するインタビュー記事 そして翌日4月8日からはいよいよ本番となります。
第1回目としてどの仏像が来るのかは見てのお楽しみ。私がこれまでに撮った写真に加え、これから新たに撮り下ろす仏像も数多く予定していて、私としても本当にワクワクです。(六田知弘)

 

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2024.03.29 淀屋橋のカフェから
淀屋橋のカフェから

今、大阪の淀屋橋駅上のカフェにいます。
例によって大阪市立東洋陶磁美術館での撮影があって、美術館に行く前に朝のコーヒーを飲みながら窓越しに橋の上の人や車の行き来をぼんやりと眺めています。
私の隣の老人は市立図書館のラベルのついた本をスマホ片手で操作しながら読んでいます。タイトルは『宮沢賢治の仏教思想』。
ここから、何度こうして、この景色を眺めたことでしょう。
時が緩やかに、しかし否応なしに流れていきます。

大阪市立東洋陶磁美術館は長かった工事を終えて4月12日にリニューアルオープンされます。
エントランス部分が変わっただけではなく、作品の照明も非常に良くなって、朝鮮の白磁なんかはその肌の質感があまりにもリアルで思わず頬ずりをしてみたくなるほどです。今までに何度も見たことがある人も、あらためて見にくる価値は大ありです。

「天下無敵」と名付けられた展示室第一には 朝鮮の青花辰砂 蓮花文 壺や北宋定窯の白磁刻花 蓮花文 洗などの超名品が展示されていて、その背景にはなんと私の「壁」シリーズの写真作品数点が設置されています。作品鑑賞の邪魔にならないかと、私としてはちょっと落ち着かないのですが、まあそれも含めてお楽しみいただければ嬉しいです。(六田知弘)

 

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2024.03.22 法隆寺
法隆寺

今、法隆寺に来ています。

中門の仁王像のところにいたら、東の方から笙のような調べが流れてきました。何か法要のようなものをしているのかと思ってそちらの方に行くと西院伽藍に隣接する聖霊院で聖徳太子の命日の行事「お会式」が執り行われていました。

中を覗くと、色とりどりの供物が台の上に飾られていて、御簾の向こうの燈明だけがともった薄暗い空間に紫の衣と白の衣を着た数人のお坊さんが笙の音に包まれて、経を上げていました。
遠目でですが、うしろからの光を受けた白い衣は光そのものを孕んでまるで白蓮のように内側から発光しているように見えました。無性に写真が撮りたくなりました。が、許可を得ていないのでそれは叶わずまたの機会ということで。

外に出ると正面の左右に高い幡が立てられていて、大きな龍頭に掛かった幡が青空のもと、初春の風を受けてはためいていました。
ああ、法隆寺、撮りたいです。(六田知弘)

 

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2024.03.15 宇治川の夕日
宇治川の夕日

仕事で京都 伏見区に来ています。
撮影が終わり、宇治川の脇の駐車場に戻ってきたら堤防の向こうに夕陽が落ちるところでした。
お母さんとお兄ちゃん、そしてその妹でしょうか。楽しそうにおしゃべりしながら自転車で夕陽に向かって走って行きました。(六田知弘)

 

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2024.03.08 「92の春が来た」
「92の春が来た」

私の好きな画家 上田泰江さんの個展が銀座の画廊 阿曾美術で始まりました。
今回は小品が多かったのですが、見入ってしまうものばかり。
写真の作品はその時には展示されていなかったのですが、新しくできた画集から撮らせてもらいました。
現在上田さんは94歳。この「92の春が来た」というのは2年前の92歳の時に描かれた作品だと思われます。
実物を見られなかったのはちょっと残念ですが、画集を見ていても引き込まれます。
上田さんの作品に触れると私の胸の中の襞を上田さんの大きな掌で撫でられているような不思議な感覚に陥ります。いつか私もこんな写真が撮れるようになりたいものです。(六田知弘)

 

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2024.03.01 円空展
円空展

大阪のハルカス美術館で開催されている「円空」展に行ってきました。
夕方行ったこともあってか会場は空いていて、たっぷり2時間楽しめました。
なかには写真撮影OKというものもあったのでスマホで一応撮ったあと、コインロッカーに入れていた一眼レフのカメラを取り出して、周りに人がまばらにしかいなかったので、この「両面宿儺」なんかは結構しつこく撮りました。(この写真はスマホで撮ったものですが。)ガラス越しだし、思ったようなライティングができないということで少々歯痒いところもありましたが、楽しい時間を過ごす事ができました。
展覧会の見せ方にはだいぶ不満もありましたが、展示品はとても充実していたので満足です。
何度も現地でお会いしている吉野の天川村栃尾観音堂の護法神像に導かれてか、円空は本来、修験の行者だったことをこの展示で今更ながらあらためて知った思いです。(六田知弘)

 

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2024.02.23 2月のフクロウ
2月のフクロウ

2週間ほど前の温かい夜のこと。
まだ駆け出しのカメラマンだった頃にお世話になった先輩を偲ぶ会からの帰り道、高幡不動の駅からお不動さんの裏山に沿った長い坂道を上りきったところで、ふと見上げると一本の木になぜだかライトがあたっていて、晴れた夜空を背景に電磁波を絵に描いたような(?)不思議な姿が目にはいりました。
思わずスマホをポケットから取り出してシャッターを4〜5回押したうちの一枚がこの写真です。
こんな暗いのによく写るものだと画面を見て感心しているうちに気づいたのですが、写真を撮っている間になにやらその木の向こうの裏山から聞こえていたような。そう思って聞き耳を立てていると、フフ、フーフ フーフと結構大きな、ゆっくりとした鳴き声が。フクロウでした。
10年くらい前まではお風呂に入っていた時などにフクロウやコノハズクの声が窓の外から聞こえてくる事が時々あったのですが、本当に久しぶりです。
もう一度鳴かないかと木の向こうの裏山の方にしばらく耳を立てていたのですが、それっきり。
フクロウも向こうのほうに行ってしまったのでしょうか。(六田知弘)

 

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2024.02.16 唐招提寺の釘隠
唐招提寺の釘隠

暖かい日の午後、まさに春雨のような静かな雨に濡れて久しぶりに唐招提寺を訪れました。
子供の頃から大好きな千手観音を仰ぎ見ていると半世紀も経っているはずなのに時の経過などなかったかように、あの時と同じ自分がここにいて、この位置からこの観音さまを見上げている、そんな錯覚を覚えてしまいました。
本当に時間は過ぎていったのでしょうか? こんなふうに感じる事は時々あるのですが、、、。
時間などは一直線に流れているのではないのじゃないか、川の流れのように、うねりながら、絡みながら流れているのじゃないか、そう中学からの下校時に葛城川の橋の上から水の流れを見ながら考えたときのことを、ふと思い出しました。

さて、写真はその唐招提寺金堂の大きな釘隠し。創建当時のものではなく何代目かのものなのでしょうが、古い木材に差し込まれた金属の光沢とその肉饅のような形を見ていると思わず手で触ってみたくなってしまいました。釘隠しの周りの木材の修理痕も好ましい。(六田知弘)

 

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2024.02.09 古い骨格標本
古い骨格標本

東京駅の丸の内側にあるKITTEビルの2階に東京大学の動植物標本を集めて展示する施設があり、近くに行った時にはよく立ち寄ります。
そのガラス貼りの展示ケースの中に並べられた戦前に作られたと思われる古い、もう色が抜けたり、シミがついたり、破損したりしているネズミやシギやサメやカエル、コウモリ、羊歯類やオニバスなどの標本を覗いているとついつい時間を忘れて見入ってしまいます。
ああ、これを撮りたい!そういう欲求がムズムズと湧いてきます。
台湾国立博物館にも日本統治の頃に集められた数多くの古い標本があって、以前撮影の交渉をした事があるのですが、様々な事情で立ち消えになってしまいました。
何でこんなものにそそられるのかわかりませんが、とにかくめちゃめちゃ撮りたい被写体です。(六田知弘)

 

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2024.02.02 床面
床面

いつも行く鍼治療院がある建物の玄関先の床面に面白い文様を見つけてスマホで撮りました。
コンクリートを塗って、まだ固まりきらないうちに建築資材なんかを置いてできた型なのか、あるいはコンクリートの袋の紙なんかを雨よけのために被せたためにできてしまった痕なのでしょうか。
見ようによっては、キュビズムの絵画作品にも見えます。

二十数年間撮り続けている「壁」もそうですが、人間の行為によるものには違いないのですが、意図せずにできてしまった形の中に面白いものが秘められている。
それに時間が堆積してその秘密めいたものがより濃厚になっていく。
そんなものに私はなぜ惹かれるのか、あまりよくわからないのですが、、、。(六田知弘)

 

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2024.01.26 オウムガイ
オウムガイ

能登半島地震では地盤の隆起が所によっては4m近くも生じて、海岸線が100m以上も遠のいたり、漁港の海底が露出して漁船が出せなくなったりして地元の漁師さんが困っているという報道がありました。

宇宙に地球が誕生して46億年。地殻がある程度固まって陸地ができた後にも常に地盤は変動し続けて今があるのですが、今回はその変化の一端をリアルタイムで見て、あらためてその変化の中で我々が、そしてすべてのものが、今、ここに「存在」しているということの不思議を思ってしまいました。

写真はオウムガイの化石ですが、1億年以上前に実際に生きて海中を漂うように泳いでいた時があったわけですが、それが死んで土に埋まり、やがて化石化して、地殻変動とともに陸上に持ち上げられた。それを誰かが発掘して、多くの人の手を経て今、私の手のひらの上にのっている。
そしてこれからも様々な形に変化し続け、やがて分子や原子まで分解されて、また様々な現象世界の一部となっていくわけですが、、。

そうした変化し続ける「存在」の一瞬の現れをカメラで写していきたいと思っています

と、被災地から遠く離れた所にいる私は、ずいぶんのんびりとしたことを書いてしまいました。
家族や知人をなくし、家を無くし、仕事を無くした今の被災地の人たちからするとそんな御託などどうでもよく、生きのこるための医療や食料や衣料や水や安心できる寝場所が必要なんだと、どやしつけられても仕方がありません。(六田知弘)

 

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2024.01.19 デジャヴ
デジャヴ

奈良博所蔵品の写真集の撮影もいよいよ大詰め。来年の開館130年記念に合わせて全部で130点を掲載する予定ですが、残すところあと6点です。
今回は国宝の「薬師如来坐像」から始まり、重文の「春日龍珠箱」、「両界曼荼羅、倶利伽羅龍剣ニ童子像」などが続き、最後はこれまた国宝の絵画「十一面観音像」でした。
いやあ、今年最初の本格的な文化財の撮影であったせいか、かなり入り込んで撮っていたようで、龍の絵を撮っている時にはその絵にシンクロするかのように自分の内側に潜んでいた龍が目覚めて、珠を手に、ゆっくりとうねりながら動き出したような感覚を覚えました。
そして最後の「十一面観音像」を撮っているときなどは、激しいデジャヴ(既視感)で、それが撮影を終えた後も半日ほども続いていました。デジャヴは昔から時々あったのですが、ほとんどが5分くらいでおさまるのですが、今回はあまりにも強烈で、長かった。

なんで今、こうなったのか分からないのですが、龍や十一面観音に刺激されてか、私の中にあって長い間潜んでいた何かが目覚めて、グリっ、グリっと回転し始めたような気がします。

さてこれからどう変化していくのか。
あがらう事なく、すべてを天に委ねようと思います。(六田知弘)

 

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2024.01.12 恐竜の卵
恐竜の卵

台湾の地方都市の雑貨店の隅っこで見つけた恐竜の卵の化石です。
なんでこんなものがここにあるのか分からなかったのですが、安価だったので即購入。別の露天で買った25センチもあるブラジル産の水晶と二つ、思わぬところで思わぬものをゲットしてルンルン気分で台北に戻った事を覚えています。

手にその卵を握っていると、1億年も前に地球上を跋扈して、惑星の衝突の影響で絶滅してしまったという動物の、温もりのようなものを感じてしまうのはなぜなのでしょう。遥かな時間を超えて、どこか私にもこの卵と繋がっているものがあるように思えてなりません。(六田知弘)

 

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2024.01.05 蝶の群れ
蝶の群れ

大晦日から年明けにかけての4日間はパソコンの前に座って10以上の外付けハードディスクになんやかやと溜まりに溜まった写真画像の整理をしていました。

ある仏像の画像を検索していた時に、ずらっと並んだ同じ番号の画像の中に一瞬目に留まったものがあり、それを開いてみてハッとしました。
奄美大島の海岸沿いの林の中で越冬するリュウキュウアサギマダラの群れです。
この写真を6〜7年ぶりに見てインパクトを受けたのは能登の大地震やそれに続く羽田空港での事故などがあって神経が少しばかり過敏になっていたせいかもわかりません。
我々をつつむ大いなる自然が放つ波動におののき、そして癒された年明けです。

皆さんにとって良い年でありますように。(六田知弘)

 

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